森田裕介先生のゼミ生を対象に,「わかりやすい文章のお作法」セミナーを行いました.受講者数は15人,時間は3時間でした.自分の所属ゼミ以外で,同セミナーを行うのは初めてでしたが,ゼミでこのようなセミナーを行うのもなかなか良いものだと思いました.

  • ゼミ生同士は知り合いなので,ディスカッションしやすい
このセミナーでは,頻繁にディスカッションを行います.たとえば,p.4「文の書き方をチェック!」では,最初に10個の例文のわかりやすさについて考えます.例文を読み,それぞれ「1.とてもわかりにくい」~「5.とてもわかりやすい」のいずれかを選びます.次に,2~3人のグループで,どの番号を選んだかを見せ合いっこします.ここで学習者たちはちょっとビックリします.なぜならば,単純な選択問題なのに,あまり一致しないのです.そこで,どうしてそう思ったのかを話し合います.「どこがわかりにくいのか?」を具体的に考え,他者に説明したり,他者の話を聞いたりすることは,わかりやすい文章を書くことにつながります.ゼミ生同士は知り合いなので,ディスカッションもスムーズに進みます.

  • TAもいっしょに受講できる
今回のセミナーは,助手さんとTAさん(大学院博士課程在学)も一緒に受講しました.彼らは,学部生の文章をチェックし,フィードバックします.「わかりにくい文章だということはわかるが,相手が納得するように説明するのが難しい」と助手さん.このセミナーでは,なぜわかりにくいのか,どうすればわかりやすくなるのかを,例文を使って解説します.その解説がフィードバックの際に役立つかなと思います.

もちろん,今後の課題もあります.
今回のテキスト「わかりやすい文章のお作法ver2.pdf」は,もともとはテクニカル・ライター向けに作成したものなので,例文がIT関連のものが多いです.できれば,学術的論文に関連した例文に変更したいです.
また,「わかりやすい文章のお作法ver.2」は,文および段落の基本的な書き方のみを扱っています.学部生が卒論等を書くには,引用の仕方,先行研究の書き方などを学ぶ必要があります.それらの技能についてもテキストを用意したいと思います.


2009年に、ゼミ生用に作成した「わかりやすい文章のお作法」テキストを改訂しました。
元々は、テクニカルライター向けの内容だったので、例文が「です・ます調」になっていますが、基礎的な技能は学術的文章もテクニカル・ライティングも同じです。

目次

1.わかりにくい文章・わかりやすい文章とは?
(1)わかりにくい文章とは?
(2)わかりやすい文章とは?

2.文の書き方をチェック!
(1)主語と述語
(2)修飾語
(3)読点
(4)語句
(5)指示代名詞
(6)中止法
(7)順接の「が」
(8)一文一義
(9)文と文とのつながり:接続詞
(10)文と文とのつながり:キーワード

3.段落の書き方をチェック!
(1)段落の構造
(2)構造化の基本「パラグラフ」
(3)列挙パターンで書いてみよう

テキストは
わかりやすい文章のお作法ver2.pdf



早稲田大学オープン教育センターでは,全学部初年次生を対象に「学術的文章の作成」という授業を開講しています.この授業は,文部科学省の教育GPとして採択されています.

2012年2月10日(金),プログラムの中間発表(のはずでしたが、来年度は予算0ということで,これが最初で最後の発表)として,シンポジウム「大学院生が活躍する大学教育プログラム」を開催します.

文章作成授業に興味がある方,
eラーニングに興味がある方,
大学院生がTAとして指導に携わることに興味がある方,
ぜひご参加ください.

基調講演
宇佐美寛先生 (千葉大学名誉教授)

取組報告
佐渡島紗織先生 (早稲田大学留学センター 准教授)

パネルディスカッション
松田岳士先生 (島根大学教育開発センター 准教授)
舘岡洋子先生 (早稲田大学大学院日本語教育研究科 教授)
安原陽平 (早稲田大学大学院生 本授業の指導員)

詳しいご案内・お申し込み方法はこちらのページです.
http://www.cie-waseda.jp/awp/jp/od/sp/symposium.html

明けましておめでとうございます.
今年もよろしくお願いいたします.

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『日本教育工学会論文誌』ショートレター特集号に,向後千春先生との共著論文が掲載されました.

冨永敦子・向後千春(2010)ブレンド型大学授業における授業形態の好みと成績との関連.日本教育工学会論文誌,34(Suppl.),37-40

本論文は,2009年10月日本教育工学会研究会(信州大学)で発表したものを修正したものです(詳細はこちら).研究会では,調査項目や分析方法に関するご指摘・ご質問をいただきました.それを参考に修正しました.的確なご指摘,ありがとうございました.

お忙しい中,丁寧かつ厳しく査読いただいた皆様,ありがとうございました.
ご指導くださった向後先生,ありがとうございました.
研究というものは,いろいろな方々に鍛えていただき,ようやく形になるものだということがよくわかりました.

うれしいことがもう一つ.
拙著『教師のためのエクセル活用術 第2版』が重版となりました.
こちらはテクニカルライターとしての仕事です.この本も,編集者とデザイナーとの協力のもと,執筆しました.

 

2月10日-12日,文教大学情報学部で集中講義「テクニカルライティング」を担当しました.

本講義は,eラーニングとピアを組み合わせたブレンド型授業です.eラーニングで文章の書き方を学んだ後,課題を作成し,ピアでその課題について検討します.eラーニングを受講していないと,課題はうまく作成できず,ピアに参加しても話についていけないしくみになっています.

そのため,ほとんどの学生はeラーニングをまじめに受講します(そうでない学生もいるようですが).授業後のアンケートによると,eラーニングのコンテンツを途中で止めてメモをとったり,課題作成時に何度も見直したりするそうです.そのため,学習時間はコンテンツの時間の倍以上にもなります.学習時間が増えることにより理解度が上がる-eラーニングの長所の一つです.

授業終了後,学生に「授業前よりよく書けるようになりましたか?」と尋ねたら,「前よりいろいろ考えるから,時間がかかるようになった」と答えました.

それは進歩したということですよ.いままでどれだけ無自覚に文章を書いていたのか.それが「いろいろ考える」ようになったわけですから,大きな進歩だと思います.


 

2月5日-8日,鹿児島大学理学部で集中講義「日本語テクニカルライティング演習Ⅱ」を担当しました.

昨年度と同じく,自分でテーマを決め,先行研究を調べ,レポートの問い・目的を立て,それに従い,マップ→アウトライン→執筆という内容でした.最期にスライドを作って,グループ内でプレゼンを行いました.

昨年度と異なるところは以下の2点でした.

  • レポートのページ数を少なくし,量的な負荷を軽くした
  • 校正・推敲支援ツール「Tomarigi」と,文章構成理解支援ツール「Hinako」を利用した

量的な負荷を軽くしたせいか,昨年度よりも授業後アンケートの結果が向上していました.
当たり前のことですが,量的・質的な負荷のコントロールは,授業満足度に大きく影響すると思います.

TomarigiとHinakoは,青山学院大学社会情報学部の稲積宏誠先生の研究室で開発された,文章作成のための支援ツールです.

校正・推敲支援ツール「Tomarigi」
異義語や長文等をチェックしてくれます.でも,一番良いところは,係り受けを視覚化してくれるところだと思います.たとえば,「新しいサークルの企画を指導教員に説明した。」という文をTomarigiでチェックすると,以下のように係り受けを示してくれます. 

tomarigi1.jpg 
この図から,「新しい」が「サークルの」を修飾していることがわかります.でも,「新しいサークル」ではなく,「新しい企画」と書きたかったとしたら,どうすればよいでしょうか?
「サークルの新しい企画を指導教員に説明した。」と修正すればよいですね.この文をTomarigiでチェックすると,以下のようになります.

tomarigi2.jpg 
「新しい」が「企画を」を修飾していることがひと目でわかります.
Tomarigiは,文の中の語句の関係を知るのに適していると思います.学生さんは,無自覚に語句をつなげていきますから,このようなツールで見直すのは大切です.

Tomarigi,Hinakoの詳細は,GPポータルをご覧ください.

12月18日,日本教育工学会の研究会が大分大学でありました.「ピアに対する指向性・満足度・文章自信度の相互影響関係の分析」というテーマで発表しました.

ピアは学習者の文章力の向上に効果があるとよく言われます.しかし,すべての学習者にピアが向いているのでしょうか? 「話すのが苦手」「自分の文章を他の人に見せるのはイヤ」という人だっているはずです.

そこで,どのような学習者がピアに向いているのか,あるいは向いていないのかを質問紙を使って調査しました.手順は以下のとおりでした.

  1. ピアに対する指向性を測るための質問紙を作成する.
  2. 文章表現授業でピアを行い,その学習者に対してピア指向性質問紙を用いてパネル調査を行う.調査時期は,初回教室授業の開始前と最終教室授業の終了時である.
  3. 探索的因子分析により,ピア指向性の因子を抽出する.
  4. 確認的因子分析により,ピア指向性の因子構造の適合性を確認する.
  5. 交差遅延効果モデルを用い,ピア指向性・ピア満足度・文章自信度の相互影響関係を分析する.

確認的因子分析の結果,3つの因子が抽出されました.

因子1:意見歓迎指向
ピアで自分の文章について意見をもらえることが役立つと感じ,さまざまな意見を受け入れようとする.

因子2:高能力要求指向
ピアのメンバーの能力に関する指向.文章作成力が低い人からの意見は役に立たない,文章作成力の高い人とピアをしたい.

因子3:フレンドリー指向
メンバーとの出会いや楽しい会話を重視している.意見交換や文章作成力の向上には関心がない.

交差遅延効果モデルを用い,ピア指向性・ピア満足度・文章自信度の相互影響関係を分析した結果,以下のことがわかりました.

  • 意見歓迎指向が強い学習者は,ピアでメンバーから意見をもらえたことにより,文章得意度とピア満足度が高まった.意見歓迎指向の強い学習者は,ピアに向いている.
  • 高能力要求指向が強い学習者は,ピアでメンバーから意見をもらえたことにより,文章力の低いメンバーからの意見も役立つと感じ,受け入れられるようになった.
  • フレンドリー指向は,文章得意度もピア満足度にも影響を与えなかった.フレンドリー指向の強い学習者はピアに向いていない.

「先生,楽しかったです~~」とうれしそうに帰る学生がたまにいます.もしかしたら,フレンドリー指向なのかも.楽しいだけであまり学習していないということもありえるのだと思います.

 

12月4日,BEATSeminar(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)の第3回公開研究会「書く力を育てる大学教育」に登壇しました.

私にいただいたお題は「テクニカルライティングとライティング教育」でした.以下の内容を話しました.詳細は研究会レポートをご覧ください.

  • テクニカルライティングとは?
  • 文教大学「テクニカルライティング」
  • 早稲田大学「学術的文章の作成」
  • 早稲田大学ライティング・センター

Hello! WASEDA in 佐賀(唐津)

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Hello! WASEDA in 佐賀(唐津)に行ってきました。

このプロジェクトは、早稲田大学による地域交流プログラムです。地方の皆さんに早稲田大学を知ってもらうために、さまざまなイベントを行っています。

今回は、佐賀県唐津市で学部生向けオープン科目『学術的文章の作成』の1コマをやってきました。

対象は中学生・高校生です。事前に『学術的文章の作成』の「一文一義」のコンテンツを視聴してもらい、課題「成人年齢引き下げについて」(400字程度)を書いてきてもらいました。

当日の授業では、以下の内容を行いました。

1.一文一義の復習

2.課題のピア(学習者同士による課題の検討、大学生がファシリテーターとして参加)

3.講義:接続表現について

4.課題の見直し(接続表現を入れる)

参加者は大変まじめで優秀でした。大学生よりもよく書けていたかも。

文章を書くおもしろさを知ってもらえるとうれしいです。

写真は唐津城です。

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